人形との対話

 人形は決して人間の彫刻ではない。普通、人形作家が作品をつくる場合、人のポーズのなかに作者が感情移入するその時、人形は人間のミニチュアであり、作者の肖像でもある。私は、持っている人、扱う人によって、あるいはその置かれる空間によって新たに意味付けされる「人形」というオブジェそのものこそが本当の.意味での人形だと思う。
 誰かが語りかけることで初めて人形は言葉を持つ。そこに人と人形との素朴な対話が生まれる。人形と向き合うとき人は本当は自分自身の秘められた内面に触れているにちがいない。人が自分自身と村話する時、人形は媒介者となるのだ。ある時はもう一人の自分とか、父母や恋人だったり.ある時は無限空間をただよう精神の案内人だったりする。どちらにしても人形はその対話者をあたたかく御守る。

京人形司 十四世面庄
面屋庄甫(岡本潤三)

   →立雛



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